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マイナンバー制の内容と企業の対策

マイナンバーという言葉、テレビや新聞で見かける機会が多くなりましたが、実際に内容まで知っている人は3割程度といわれています。

プライベートでは様々な分野で便利になる反面、企業が行政に提出する情報にもマイナンバーが絡んでくるため、個人情報の保護措置を講じる義務が発生します。

もし違反した場合は罰則規定により、処罰される対象となりますので、社会的信頼を失わないためにも、企業対策をきちんと行う必要があります。

マイナンバー制の内容と企業が行うべき対策について

 

マイナンバー制度とは?

住民票を有するすべての人に12桁の固有の番号(マイナンバー)が付与され、申請することで、個人番号カード(ICチップ付)が交付されます。
※住民票がない国外滞在者は対象外
※対象者であっても申請しない場合は個人番号カードは交付されない

今後、この個人番号カードが本人確認の際に用いられ、行政が行う社会保障・税・災害対策の各分野で利用されます。
民間企業がビジネスで活用することは現時点では認められていませんが、改正法案が通過すると、段階的に金融機関・医療機関などへ利用範囲が拡大することになります。
その他の民間企業に関しても今後検討される可能性があります。

運用が始まると、行政機関ごとに管理している情報を、マイナンバーを使用し照会と提供が可能になります。

想定される活用ケースについていくつか紹介します。

活用ケース① 市町村の事務手続き

厚生年金や児童手当の請求の際に、これまで必要だった住民票や課税証明書などが不要になります。
市町村側で、マイナンバーを使用して必要な情報を各機関へ照会すること可能になるからです。

活用ケース② 脱税や不正受給対策

結婚、マイホームの建築費用など、援助金を子供の口座に振り込んだりといったことは、金額によって贈与税の対象となりますが、申告しなければバレないケースがほとんどです。
もし預金口座にマイナンバーが導入されれば、申告しなくとも関係機関で把握することが容易になり、徴収漏れがなくなります。

また生活保護の不正受給は、収入を偽ったり、住居を転々とする最中に各自治体で生活保護を申請したりと様々ですが、今後自治体間で受給実態が共有されると、偽って申請することができなくなります。

その他にも、扶養控除を2重申告することを防いだり、配偶者控除の試算を適正に行えるようになります。

活用ケース③ 捜査機関への情報提供

警察や公安など、捜査で必要とあれば、比較的簡単に個人の所得などの情報を把握することが可能になるため、犯罪防止に役立つことが期待されます。

企業への影響

個人ではマイナンバー導入でメリットがある一方、企業では負担(コスト)が増えるなど、デメリットが大きいでしょう。

①行政機関への届出様式にマイナンバーを挿入する義務が発生します。

2016年1月以降からはじまります。
ただし、健康保険・厚生年金保険関連は2017年1月以降になります。

社会保険関連
健康保険・厚生年金被保険者資格取得届
健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届
雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険被保険者離職票

 

税金関連
報酬・料金、契約金および賞金の支払調書
不動産の使用料などの支払調書
配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書

※上記の他にも該当する届出様式はあります。

②従業員等のマイナンバーを収集する必要があります。

2015年10月より順次、個人番号通知カードが届きます。
従業員、役員、パート、アルバイトの番号を収集します。
また、扶養家族がいる場合はその扶養家族の番号も必要です。

従業員の顔を確認できる場合は番号のみの提供だけでいいのですが、そうでない場合は本人確認が必要になります。

  • パターンA:個人番号カード
  • パターンB:通知番号カードまたは住民票+身元確認できるもの(運転免許証またはパスポート)

従業員を1人ごとに呼び出して、自分でマイナンバーを専用端末の画面に打ち込んでもらうやり方が現実的でないかと思います。
当然、現場で入力内容と個人番号が一致しているかを確認する担当者は必要になりますが。

③マイナンバーの管理について

マイナンバー情報を漏洩した場合、最も重い刑事罰で、「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」もしくはその両方を科せられます。
企業にとっては社会的ダメージが大きく、事業存続も危ぶまれます。

外部犯もさることながら、内部犯による犯行に特に注意が必要で、以下のように性悪説に基づいた方針のもと、対策を行うことが重要です。

  • 不正行為を行う人は、「方針」「規定」は無視。
  • 社内研修・勉強会」は無意味。
  • 体制・運用・監督・確認」を避け、「考えつかないこと」をやる。
  • 守らせる」や「やらせない」の人にゆだねるのではなく、不正な行為、間違った操作が「できない」こと

さらに、管理を行うためのシステム導入(投資)が必要不可欠となります。

できれば専用のサーバをたてて、マイナンバーを1カ所に格納して集中管理をした方が効率的です。

マイナンバー専用サーバならびに、そこへアクセスできる端末には以下の機能が必要です。

  • 操作履歴の管理
  • 印刷履歴の管理
  • データ暗号化
  • 持出制御
  • データ送信ブロック
  • データ消去
  • アクセス制御
  • ウィルス対策

ここまで用意できれば万全ですが、費用はおそらく最低数百万からだと考えた方が。。大企業向けですね。

中小企業では、今売られているマイナンバー対策済のパソコンを1台買ってそれで管理する方が現実的だと思われます。

まぁマイナンバーに関しては、各自治体がマイナンバーを漏えいした場合、誰が責任をとるのか?
など、これからもいろいろな議論が沸き起こりそうですので、情勢に変化があったら更新していこうと思います。

~ おわり ~


参考情報

内閣官房 マイナンバー 社会保障・税番号制度

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だっち

30代 二人の子持ち。 婿はなにかと肩身が狭いので、寺泊で釣りができることが何よりの癒しです。シーバス、アジング、メバリング、ショアジギング、たまにぶっこみ釣りやサビキ釣りも。冬にはスノボを楽しみます。