「ついに来たか」という思いですが、うちのジジイ(青色申告の個人事業者)の所に税務調査が入りました。
青色申告になってから10年以上になるそうですが、初めてのことだったらしいです。
僕は税務調査に立ち会っていませんので、ジジイから聞いた話をまとめてみました。
個人事業主が税務調査で指摘されたこと
税務調査の時期について
9月上旬、何の前触れもなく突然税務署から電話が入ったそうです。
電話の内容ですが、
- 1週間後の午前10時から税務調査に来ること
- 税務署職員が二人で来ること
- 確定申告書、青色申告決算書、消費税の申告書、総勘定元帳、レシート、領収書などを用意しておくこと
おおよそ、このような感じだったらしいです。
電話があってからの1週間、ジジイのストレスは相当だったようで。
何しろ税務調査がどんなものなのか全くわからず、かなりビビっていましたから。後から聞いた話ですが、税務調査に入られた経験のある知り合いに、どんなことを聞かれるのか事前に尋ねていたそうです。
税務調査の様子
今どき、ほとんどの個人事業主は会計ソフトを使用してをしているはずなので、パソコンのデータを見るのかと思ったのですが、全く予想が外れました。パソコンなんて全く見ません!
紙の総勘定元帳を見ながら、仕訳の内容をレシートや預金通帳、領収書などと照合しながら事細かに見ていったそうです。
このとき初めて知ったのですが、原則、総勘定元帳は紙で残しておかなくてはいけない決まりのようで(残しておく年数も決まっています)印刷していなかったことについて指摘を受けました。
お恥ずかしい話、こんな初歩的なことすら知りませんでした。
ちなみに、パソコンデータだけで保管する場合には、事前に申請をしておかなければならないそうです。
[手続名]国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請
本当に細かい点をついてくるので、質問を受け続けていたジジイはぐったりしたそうで
結局、1日では調査が終わらず(16時頃に帰られたそうです)、職員の人が過去3年分の総勘定元帳、レシート、領収書などをそっくりもってかえって調べることになったようです。
過去3年分を調べるというのは一般的。
売上をごまかしていたり、悪質な行為が発見された場合には、5年や7年さかのぼって調査されることもあるそうで、「売上や消費税をごまかしていないので悪質ではありません」とジジイは言われたそう。
また意外なことに、税務署の人は親切だったようで、間違っている箇所の理由を丁寧に教えてくれたり、こちらからの質問にもきちんと答えてくれていたそうです。
ジジイが会計素人で、税務調査にも協力的だった点が幸いしたか、たまたま担当した方が親切だったのかはわかりませんが
税務調査での指摘事項
税理士に頼んでいたら指摘事項はもっと少なくて済んだのでしょうが、なにしろ素人がやっているんで
以下に指摘事項を記載したいと思いますが、ジジイも言われたことを全部覚えていたわけではないそうです。
過去7年分は総勘定元帳を紙で保管しておかなかった
これは先ほども書きましたが、パソコンのデータを紙に出力しておく必要があるそうです。そうでなければ申請が必要。
家事按分の比率が適切ではない
ウチでは光熱費が一つの請求書で来るため、家事按分をする必要がありましたが、事業割合が高すぎたそうです。
職員の人から、下記の支出に対して正しい按分比率に是正されました。
おそらく、青色申告では税務署から突っ込まれやすいポイントかもしれません。
- 電気
- ガス
- 水道
- 自動車
特殊車両は事業100%でいけそうですが、一般的な乗用車の場合は、送り迎えや食料品の買い出しなど、家庭用で使う機会が何かとありますからね。事業100%というのは却下されました。
教えていただいた正しい比率で次回から計算したいと思います。
個人の支出を事業経費にしていた
- 新聞購読料(新潟日報)
- NHK受信料
事業向けの特殊な新聞なら大丈夫ですが、一般的な新聞は経費として認められないそうです。
NHK受信料に至っては論外らしいです(笑)
子育て中の嫁の青色専従者給与が認められなかった
嫁は青色申告専従者として申請しています。
子供が生まれてからも、家で子供の面倒を見ながら会計や納品書、請求書発行などをを行っていました。
金額も数万円程度だったので認められるだろうと思っていたのですが、全額認められないと却下されました。
保育園や幼稚園に子供を預け、日中は仕事に専念していれば青色専従者給与は認められるとのこと。
子育てしながら片手間で仕事もしている、というのは基本的にダメみたいです。やはり「専従」という名前がついているくらいですから、その辺は察しろということでしょう。
余談ですが、青色申告専従者について、副業的なことは大丈夫か聞いてみました。
質問:月~金の平日に青色申告専従者として働き、土日はどこかでバイトするようなことは認められるのでしょうか?
↓
結論:上記の場合は、副業は認められる
逆に、平日に副業するのはNGのようです。
レシートにメモをしておくこと
事業用として支払った経費(接待交際費とか雑費)でレシートがある場合、はっきりととそのときの状況(使用用途や誰と行ったとか)をレシートにメモを残しておくように指摘されました。
現金の仕訳
個人事業主の場合、現金の管理があいまいになることが多いそうで、ウチの場合もいわゆるどんぶり勘定でした。
月末月初にまとめて事業主貸、事業主借の仕訳を入れていた具合で。
都度、事業主貸/借の仕訳を入れるように指摘されました。
修正申告について
税務調査から2週間ほどたったころ、電話でザックリとした金額を教えてもらったそうです。
最終的な修正申告の金額が確定したのは、1ヵ月半くらい経ったころでしょうか。
二人で家に来られて、修正申告書を持ってこられました。その時に今回の税務調査の結果について色々と説明を受けたようです。
今回わかったのは、修正申告書(過去3年分)は税務署の方で作成いただけるため、基本的にこちらは何もせずに良かったです。
ただし、払う物はキッチリ払わなければなりませんが(笑)
支払いについて(ペナルティとか)
修正申告で発生した差額は「一括」「分割」のどちらの支払方法を選んでも良いそうです。
過去3年分ということで、思わずビックリ!な金額になりました。
「分割」の場合は利息がつくことや、手続きのため税務署へ直接足を運ぶ必要があるため、「一括」で支払う方が楽です。
修正申告の差額を支払った後、1ヵ月後にペナルティとして過少申告加算税の請求が来ます。それ以外にも事業税、住民税、国民健康保険税・・・
過少申告加算税は10%とのことでした。悪質の場合、重加算税やその他の重い罰金があるとのことでした。
最後に、何故ウチに税務調査に入ったのか聞いてみた
税務署の人に何故ウチに税務調査に入ったのか聞いたところ、
- ここ数年で売り上げが急伸していること
- 納めている所得税が、売上に対して少なすぎたこと
帰られる時に「次回からきちんとしていただければ、あと5年は来ることはありませんよ」と伝えられたそうです。
要するに、今回の修正申告額と同等を次回からきちんと払えば、しばらく来ないってことですかね。
終わりに
人がすることなので間違えはきっとあるでしょうが、意図的に売上をごまかしたり、悪質な行為が認められた場合には、5年や7年と長期に遡って修正申告をしなければなりません。恐ろしいことに、重加算税という重いペナルティも待っています。
ご参考までに
ウチが今回支払ったペナルティの合計金額は200万近くになりました。
青色申告をするなら会計ソフトが便利
我が家でも弥生の青色申告(スタンドアロン版)を使っていますが、家事按分や消費税計算を自動でしてくれるのでかなり便利。
E-TAXに対応しているので、わざわざ税務署に郵送したりせずに簡単に確定申告を行えます。
オンライン(クラウド)版も出ていて、ネットワークに繋がってさえいれば、どこからでも使用できるらしいです。ただ、スタンドアロン版に比べると一部の機能が簡略化されているので、事前に調べた方がよさそうですね。